大切な人を失って、己も身体の老いを止め。それからずっと、私の時計は止まったままだった。大切な人は種子の棺の中で死ぬ事もなく、生きる事もなく。ミトスの狂気を止める事も出来ず。きっと私も、死んだようなものだった。

私の止まった時計を動かしたのは、生きる歩みを止めなかったロイドだった。ロイドは己の父の時計も、私の大切な人の時計も、その弟の時計も、私の時計をも動かして、やがて不毛なマナの奪い合いを繰り返していた二つの世界という狂った時計まで合わせて組み立て直してしまった。

 ロイドを欲したのは、マーテルという時計を動かすためのパーツとしてだった。しかしロイドは部品などに留まる器ではなく、時計職人そのものだったのだ。

 荒々しくも鮮やかに、生きる事を止めないまま、止まった個々の時計と世界の時計を動かしていく修理人。

 いつだったか、本当に時計の内部をいじくって直してしまっていたのを見た。その真剣な目つきと手つきに、お前は世界の修理人だなと言ってしまったら、直してるのは時計だろ。と、わからない顔をされた。

 もうパーツが必要なくなった今も、私はその修理人を欲している。