幼なじみの少女から教わったのだというクリームシチューは、今やロイドの得意料理になっているのだが、今日はその色合いが雪色でなくカボチャ色だった。

「ハロウィンだからさ。いつものじゃつまんねえかなって思って、アレンジしてみた。前にコレットにポテトじゃなくてカボチャ入れてもおいしいって聞いたことあるからやってみたんだけど、味見してくれよ」

 小皿によそったものを口にすれば、普段よりも甘いまろやかさがユアンの口の中に広がった。

「美味いな」
「やった、勝った!」
「いつ勝負になった」
「あんたに美味いって言わせられるか勝負!」
「貴様の作る物は大体美味いのだから、勝負にならないだろう」

 得意料理、苦手料理の差は多少出るが、美味いかとても美味いかの違いだ。

「クリームシチューは特別得意ではなかったはずだが、これも貴様の上達が著しい」
「褒めてるんだろうけど、なんかエラソーだな、煽られてるみたいっていうか」

 なんて言いながら機嫌良く夕食の準備を進めようとするロイドの腕を、思わず掴んで引き寄せた。

「なんだよ」
「ハロウィンといえばイタズラが相場だと思うが」
「変態。お菓子はどこ行った」
「こっそり買って来ておいた」
「食いたい」
「シチューの後だな。私とロイドの邪魔をするカボチャの化け物を食べて退治してからだ」
「なんだそれ」

 ツボったのか、ユアンの腕の中で笑うロイド。甘いカボチャの匂いの部屋で、グツグツ煮えるシチューの中のオバケはきっと、笑っていることだろう。